はじめに
同人界隈で「作家に感想を送ろう、送ったらその分やる気が出るよ」というムーブメントが定期的に出るというか、起きる。
作品に対して何かしらリアクションを起こしてあげよう、ということなんだろうがあまりよい働きかけではない。
というか、「感想は送るべき」というムーブメントとか、「感想送ろう」と押し付けない方が平和だから。
じゃあ、物書きがなんでこういうこと言うかというと、かくいう私も「感想文書くのが超苦手」だから。
感想は創作以上に高度な作業かもしれないので、送れる人はホントにすごい。
大体気づいている方もいるだろう。私はDMや感想を書くのが非常に苦手だ。手紙については失礼な言い回しをしたら大変なので金田一先生の手紙の書き方辞典が大活躍している。最近になってやっと、「定型文と定型文によるむすびの間に、ちょっとだけ自分の言葉を入れる」のができるようになってきた。
文学講座を取っていたというのに、このザマである。
感想はさらに苦手で、いくら頑張ってもあらすじだらけになってしまった。中学の時は困った挙句、考察もどきを書き連ねて教師の机に置いて知らんぷりしていた。そもそも自分の心の動きを逐一メモして、「ここが感動した」とか、「この表現が好きだ」と書く方の誠実さ、マメさには頭が上がらない。
私はいつも映画などをボケーっと見ている。作品を見るのは学ぶためであったり、のちのちの作品作りに活かすという目的があったから純粋に感動したり作品を楽しんでいたことは少ない。
最近はそうした精神的な束縛を離れたので、「銀魂」を見て笑い転げることもできるようになったし、「ドリフターズ」を読んでベタ塗のぞくぞくする迫力を楽しむことができている。
でもそうした感動、心動かされた思いをメモして文章化することは自分の経験としてなかなかない。だから感想やコメントを送ってくれる方の存在は本当にありがたいし、「頼むから負担にならない程度で頼む…!」と思ってる。スタンプやいいね!など、反応を頂けたり、折に触れて読んでいただけているだけで本当に感謝しかない。
大変で時間がかかる行動だからこそ、「こうするべし」という考えで縛らない方が平和だと思う
感想は本当に難しい。なかなか思いの丈をそのままつづって相手のメールボックスに突っ込むというのがこれまた難しい。
私もよくつらつらと書いて、A4の半分くらい埋めたあとよく削っている。で、言いたいことの半分も言えないままけっこう控えめなシンプルなコメントを送ってしまうことがよくある。送ったあとも、シンプル過ぎて淡白に見えないかと悩むし、長文を送り付けたら付けたで「相手に手間を取らせた」と悩んだりする。
結局のところ、感想もコミュニケーションなのでどうしても送信後には悩むんだと思う。
だからこそ、「作家が筆を折る事のないよう、感想を書いて励まそう」という定期的に出て来る考えは危ない。かくいう私も、無邪気な気持ちで感想を送ったあとに相手が逆上するというパターンも数回見てきたので「感想送るべし」というムーブメントはメジャーにすべきではないと考えてる。
感想欲しい人には送って応援すればいいし、そうしたオーラを出していない人には無理に出さないでいいはずだ。人間色々なのである。
記事で取り上げた本はコレ↓
ちなみにいまだに現役。表現が文学的なところがあって「プロの手紙とはこういうものか」と嘆息する。
関連記事はこちら