PVとブックマークの数に一喜一憂して疲れた
つい数か月前、とあるweb小説専門サイトから抜けた。
それなりに読者数も多く、尖った作品も置いてOKと言われたものの実情を知れば知るほどうんざりして利用をやめた。理由としては「ひどい作者は叩いてOK」という考え方や、「読者は批評の権利を持つ」という考え方もそうだ。
そして自分の心を打ち砕かれたのは「いくら書いてもランキングに乗らない」「ランキングに乗るためにはひたすら書かなくてはいけない」という点だった。
読者至上主義的なスタンスにうんざり
読者と言われる人たちの本音が書かれた掲示板を見るまでは比較的平穏に投稿できていた。
「う〇こみたいな作品には低い評価を付けてランキングに上がってこないようにしよう」
「ひどい作品は地面に埋めておく」
そういったコメントの数々を見て、すっかり嫌気がさした。そのうえで
「作者は読者に反論することは許されない。プロだってそうだろう」
と言ったアグレッシブなコメントの数々を見て、「このサイトはダメだな」となった。
比較的作者を守ってくれるサイトらしいが、近況報告欄で飛び交うコメントはとげとげしかったし、ここに作品を置いておくのは辞めようと言うことになった。
ランキングに乗るには毎日投稿しなくてはならないというプレッシャー
これは完全に自分が勝手に落ちた罠だ。でも物書きと言うのは、心のどこかで自分の作品が話題になったらいいなとも思うものだ。
作品を投稿し、毎日1名読みに来てくれるだけでも最初はうれしかった。それがあるとき、ちょっとウケのよさそうなものを書いた結果そこそこのPVを頂いたのだ。
3か月くらいで4000PVはいった。夜中にふとスマホを見たとたん、バンバン閲覧数がまわっているのを見てガッツポーズしたこともある。うれしい反面、今度は別の欲がわいてきた。
「もっとブックマークされないだろうか」
そうおもって、次から次へと作品を書いた。ブックマークされやすい時間を狙って投稿したり、あえて時間をずらして投稿することもあった。
それが功を奏するときもある。他のユーザーが作品をたくさん投下すれば、そうした策が意味をなさなくなる時もある。自分の作品が流されていくからだ。
私はしばらくもがき続ける事となった。
作品投稿がまるで回し車ルーチンになったある日
投稿して、たくさんPVがついた。それでも一日にやっと1件ブックマークが増える。
私はちょっと異常になっていた。他の人の作品ページを見て、どれくらいブクマされてるか見てしまったのだ。
3000PVでブクマが50件近くついている人がたくさんいるのを見て、自分はまだまだだ、と思った。そこからブクマを増やそうと戦略サイトを見て回った。
そこには「毎日2000字書いて投稿しよう、埋もれないように時間をずらそう」といったものや「ストックはいつか切れるもの。毎日書いて読者さんに忘れられないよう努力しよう」というメッセージがあった。
確かにその通りだ、と思って実行しようとしたが数日で手は止まってしまった。なぜかというと、私は作品を書きながら次の伏線を張っていたからだ。
ある程度作品のプロットが組めていて、それに従って作品を書けるなら「毎日コンスタントに2000字投下」ができる。それに対して、私の執筆スタイルは「とりあえず文字に起こしてみて、そこから考える」ものなので毎日2000字のノルマを達成することが出来なかった。
書いては「これじゃだめだ」とゴミ箱に放り込み、結局習慣化できないうちに私はつぶれてしまった。そしてランキング上位で悠々と毎日作品を投稿している強者を見て、「私にはまねできない」と打ちひしがれていた。
作品を書いて投稿する中で、妙な欲が出て来ると勝手に回し車に入り込んでひたすらどうでもいいところを走ることになる。小説投稿サイトはランキングがどうしても目に入るから、より一層焦りや見栄が出たのだ。
趣味のはずの投稿が健康に害をなし始めた日
その無意味な焦りは日常にも影響した。寝る時もスマホを握り締め、ブックマークが増えていないか見張るようになってしまったのである。
ふと深夜2時くらいに目が覚めてブックマークが動いていないのをみて落胆するものの、スマホの明かりで目がさえてしまう。
そこからうまく寝られず、ちょっと仕事をして朝方眠ると当然のごとく寝坊寸前なんてことも出てきた。投稿サイトのランキングの影響はさらに大きかった。
ブックマークが増えない間、私の頭の中ではこんなことがぐるぐるとまわっていた。某掲示板で見かけた、自称読者による「ひどい作品は黙殺、目に余れば低評価を付けて浮上させない」というあの一言だ。
「ブックマークが増えないのはそれだけの価値がないからなのか」
「下手に注目されてひどいコメントを入れられるよりはマシなのか」
「それでも反応がないというのは、それだけの価値がないということか」
そんなことで悶々とし、結局はそこから一歩も動けなくなる時期があった。
結果、私はその投稿サイトから退会した。
自分で目標を設定せず、勝手に狂った私にはSNSは合わなかった
作品を書くときに毒なのは数字だと思っていた。
しかし、「自分より上にいるように見える人」の存在がわかってしまう環境こそ、なかなかメンタルに来るなと今では考えている。
本当ならば、自分なりの小さな目標を立てておけばよかったのだ。
例えば、毎日1文字書けたらOKとか、ほんとうに達成しやすい物を目標にすべきだった。
それが無理なら、小説の事を10秒考えてメモする、なんてことだっていい。
毎日楽しくできる、ログインボーナス的な作業にして置けばよかった。
それが出来ずに、目先のPVに踊らされた結果勝手に撃沈したのである。ランキングに乗るために消耗し、乗ってからも追い抜かされないよう書き続けるweb連載というのは常人の出来ることではない。
そう考えると、個人ブログで地道に作品を投稿する方が精神衛生上はるかに楽である。
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最近はタスク目標を手帳に書く。作業は自分との約束でいいのだ。
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